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午前中にビットコインとサトシ・ナカモトの話を理解した。「お金の価値は合意でしかない」「ビットコインの本質は希少性ではなく、誰でもルールを確かめられること」——そこまで腑に落ちたところで、自然に次の話になった。
「じゃあ、自分でやってみよう。」
MetaMaskもRemix IDEもFaucetも、このとき一度も触ったことがなかった。ゴールは、EdenCodeコミュニティ用のコイン「EdenCoin(EDEN)」をSepoliaテストネット(本番ではなく練習用のブロックチェーン)に発行すること。売買や投資目的は一切なし。将来エデン国のコミュニティができたとき、住民と遊ぶためのデジタル記念品として。
実際の手順はこうだった。
Remixの画面に「EDENCOIN」が出現した瞬間、Sepoliaブロックチェーン上にEdenCoinのアドレスが刻まれた。世界に一つ、永久に消えない住所が生まれた。
Faucetで「Start Mining」を押したとき、画面に虹色の猫(ニャンキャット)が走り出した。これがマイニング中の演出で、テスト用のETHが溜まる間ずっと走り続ける。
ブロックチェーンの世界への入口が虹色の猫だったというのは、EdenCodeらしくていいと思う。その猫が走っている間に、隣のタブでSolidityのコードを書いていた。
コントラクトのデプロイが完了した直後に、MetaMaskのシークレットリカバリーフレーズ(シードフレーズ)を紙に書いて保管した。
シードフレーズはウォレットのマスターキーにあたる12個の英単語。これを知っている人は誰でもウォレットの中身を動かせる。逆に言えば、これさえあれば端末が壊れてもウォレットを復元できる。
今回はテストネットなので金銭的リスクはゼロだが、本番ネットに移行するときのために今から正しい習慣をつけておくことが重要だと判断した。デジタルに保存せず、紙に番号付きで順番通りに書き写して物理的に保管する。
デプロイが完了してから、「これって実際にどう使うの?」という話になった。技術的にできた、の次に来るのは「どう届けるか」という設計の問題だ。
まず考えたのが心理的ハードルの問題。「ウォレットアドレスを教えてください」というのは、初めて聞いた人には怪しく聞こえる。解決策として考えたのが「エデン国専用のアカウントを新しく作って教えてね」というアプローチ。MetaMaskは1つのアプリの中にアカウントをいくつでも追加できるため、プライバシーへの配慮になる。
次に法的な整理。日本の資金決済法では、不特定多数が売買できる状態でトークンを発行するには金融庁への登録が必要になる。EdenCoinの設計は「クローズド・売買不可・無償配布」であり、ゲーム内ポイントと同じ扱いになるため問題ない。「売買できません・お金になりません」を明記する限り、法的にクリーンな範囲内に収まる。
もう一つ、デプロイ後に気づいたことがある。今日作ったEDENは「ERC20」という規格——全部同じコインで交換可能な「通貨」型だ。
「ERC721」という規格を使えば、一つひとつが唯一無二のNFTになる。つまり「エデン国住民証明書 #001」という世界に一枚だけの会員証が作れる。EDENが「通貨」なら、住民証NFTは「身分証」という二層構造。作り方は今日とほぼ同じで、規格が変わるだけ。
今日は「知識」が「体験」になり、「体験」が「設計」になった日だった。
午前中にビットコインとサトシの話を理解して、午後に自分でコインを作った。MetaMask・Faucet・Remix・Solidity——全部初めてだった。それでも2〜3時間でブロックチェーンにEdenCoinが刻まれた。
コインを作ることよりも、「どう使うか・どう届けるか・どう安心してもらうか」を考える時間の方が長かった。それがコミュニティ設計の本質で、サトシが解いたのもまさにその問題だったと思う。
「何だか分からん」けど「できた」——これがEdenCodeの旅のスタイルだ。のっぱらに、今日また一つ石が置かれた。