Blockchain Study Log
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頭の中の「なんでやろう」
一個一個潰した日
SANAEコイン騒動をきっかけに、ビットコイン・ブロックチェーン・NFTの根っこを掘った

TRIGGER

炎上ニュースが、勉強の入口になった

SANAEコインという仮想通貨が炎上していた。現役閣僚の名前と顔画像を無断で使ってミームコインを発行し、売買が始まった。本人は「そんな話は聞いていない」と否定。

ニュースを見ながら「なんでこんなことができるんだろう」と思った。誰かの名前を勝手に使ってコインを作れるのか。それがなぜ問題になるのか。そもそもブロックチェーンって何なのか。

「なんとなく知ってる」では気持ちが悪い。一つひとつ丁寧に潰していくことにした。

INSIGHT 01

ミームコインの値段が動く仕組み

SANAEコインの問題を理解するには、まず「DEX(分散型取引所)」と「流動性プール」を知る必要があった。

ミームコインの価格は、プール内の「円」と「コイン」の量で決まる。このとき重要なのが「円 × コイン = 常に一定」というルールだ(AMM:自動マーケットメーカー)。

誰かがコインを買うと、プール内のコインが減って円が増える。コインが減るほど、一枚あたりの値段が加速度的に上がる。「人気が出れば出るほど高くなる」仕組みが自動で動いている。

そして運営が65%のコインを保有したまま「流動性ロック」をかけていない状態でプールに人を呼び込んだ。「逃げようと思えばいつでも逃げられる設計のまま、他人に価値を作らせていた」——これがSANAEコイン騒動の本質だった。

COMPARE

ビットコインはなぜ違うのか

項目 ミームコイン(SANAE型) ビットコイン
発行者 運営が好きなだけ刷れる 誰も刷れない(マイニング報酬のみ)
管理者 運営が存在する 誰もいない
発行上限 なし・変更できる 2,100万枚で永遠に固定
始め方 有名人の名前で大々的に宣伝 暗号理論メーリングリストに論文1本

ビットコインを生み出したサトシ・ナカモトがやったのは「コインを作った」のではなく、「コインが生まれるルールを作った」ことだ。問題を解いた瞬間に初めてコインが存在し、掘った人の財布に入る。改ざんできないのは鍵をかけたからではなく、「改ざんするより正直に参加する方が得になる経済設計」だからだ。

「山にこもった数学の天才が、誰も解けなかった問題を解いて論文を1本投げてそのまま消えた。
それを面白いと思った誰かが宝探しゲームのように黙々とマイニングを続け、
口コミでどんどん広がっていった。」
INSIGHT 02

「自由の最大化」は同時に「リスクの個人化」だ

ブロックチェーンの世界には管理者がいない。銀行もない、政府もない。これを「自由」と捉えることもできるが、裏面もある。

誰も責任を取ってくれない世界=全責任が自分にのしかかる世界。
お札が破れたら銀行で取り替えてもらえる。管理者がいるからこそ成立する安心感がある。

ビットコインの秘密鍵を失ったら、何十億円分でも永遠に取り出せない。「誰も助けてくれない」のは「誰にも支配されない」のと表裏一体だ。日本人の感覚でなかなか受け入れづらいのは、そういうことだと気づいた。

SUMMARY

SANAEコインの炎上から始まって、一日でブロックチェーンの仕組みがひとつの糸で繋がった。「流動性ロック」「AMMの価格計算」「ポンプ&ダンプの構造」「サトシの天才性」「NFTの本質と限界」——一個一個潰したら全部繋がった。

特に印象に残ったのはサトシの話だ。宣伝もせず、有名人も使わず、専門家向けメーリングリストに論文を1本投げただけ。SANAEコインがやったこととまったく真逆の始まり方をしたものが、今や1枚1,000万円を超える。「面白いものを黙って置いておいたら世界が動いた」——これはEdenCodeのコンセプトと根っこが同じかもしれない。

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